「知らなかった」では済まされない—企業に求められる“暑熱対策”とは?
2025年6月1日より職場の熱中症対策が義務化へ!300名の声に学ぶ暑熱対策のリアル
猛暑が常態化する近年、屋外や高温環境で働く人々にとって、熱中症は命に関わる深刻なリスクです。2025年6月には、労働安全衛生規則が改正され、暑熱対策が企業の義務となりますが、実際の現場では「どんな対策をすべきか」「社員に本当に効果があるのか」といった戸惑いの声も多く聞かれます。
当社では、職場の熱中症対策が義務化に際し、取り組んでいる企業300名を対象に意識調査を実施し、その実態と課題、今後の方向性を明らかにしました。本記事では、調査結果をもとに企業の対応状況を読み解くとともに、企業が求められるユニフォームを選ぶ際のポイントや対策準備のヒントをわかりやすくご紹介します。
アンケートで見えた企業の暑熱対策の実態と課題
調査概要(対象者の属性、調査目的など)
2025年6月に改正される労働安全衛生規則では、暑熱環境下での作業者に対し、企業が服装調整や冷却機器の提供など、具体的に職場の熱中症対策を講じることが義務化となります。これにより、法的な対応だけでなく、従業員の安全と健康を守るための対策が企業に強く求められるようになります。
そこで、現場の実態や課題を把握し、今後の当社提案活動に活かすべく、意識調査を実施しました。調査対象は、建設業、製造業、運送・輸送業、電気・ガス・水道業に従事する30代〜50代の正社員および経営層300名。すでに暑熱対策を導入している方を対象とし、具体的な導入内容や目的、感じている課題、今後の導入意向、法改正への認知や対応意識、さらに企業がユニフォームに求める機能や情報収集の手段まで幅広く調査を行いました。本記事では、アンケートから読み解く職場の暑熱対策の“今”をデータとともにひも解いていきます。
熱中症対策の導入状況と種類

まず、現在導入されている暑熱対策商品について尋ねたところ、「水分補給グッズ(飲料・塩飴など)」が45.7%と最も多くの回答を集めました。続いて、冷却インナーやネッククーラー、ヘルメットインナーなど、身体を冷やすための補助アイテムも多く導入されています。一方で、ファン付きウェアや冷却装置内蔵のベルチェウェアといった高度な商品は、導入している企業が比較的限られており、導入コストや運用の手間が壁となっている様子がうかがえます。また、「あてはまるものはない」と回答した企業も約3割と少なくなく、業種や職場環境によっては暑熱対策が未着手のケースも存在します。
この結果から、取り組みやすい簡易対策は一定程度普及している一方で、本格的な対策が行き届いていない現状が見えてきます。対策導入には、コストや効果のバランス、現場への浸透性など、さまざまな要因が影響していると考えられます。

暑熱対策の導入目的と課題

企業が暑熱対策を導入する理由として最も多かったのは、「健康管理のため」で、全体の76.3%がこれを挙げました。命にかかわるリスクを伴う夏場の作業において、従業員の健康を守ることが最優先課題となっていることが分かります。さらに、労働災害対策や生産性の維持、従業員満足の向上といった側面から導入されているケースも多く、暑熱対策が経営課題としても認識されつつあることがうかがえます。
一方で、導入に際しての悩みも明確になりました。「導入コストが高い(43.3%)」という声が最も多く、続いて「維持費がかかる」「使用率が低い」「効果が実感しにくい」といった声が続きます。中には、せっかく購入しても着用されずに無駄になってしまうという課題もあるようです。
コストに見合った効果が得られるかどうか、従業員に受け入れられるデザイン・機能かどうかなど、単なる導入にとどまらない“使われる仕組み”づくりの重要性が浮き彫りになっています。


これからの熱中症対策と義務化への備え
今後の導入予定と意向

現在導入している対策だけでなく、「今後、さらに導入・拡充を検討している」と回答した企業は49.0%と、全体の半数近くにのぼりました。法改正を前に、多くの企業が既存の対策を見直す必要性を感じていることがうかがえます。一方で、「予定はない」「分からない」といった回答も一定数あり、企業ごとに温度差があることも事実です。検討中の商品としては、「ファン付きウェア」が55.6%と最も多く挙げられました。続いて、冷却タオルやインナー、冷感素材を使用したユニフォーム、水分補給セットなどが関心を集めています。これらの傾向から、従来の“水分補給中心”の対策から、服装や装着アイテムによる物理的な体温調整へとニーズがシフトしていることが明確です。
また、作業環境や動線、着脱のしやすさ、洗濯頻度など、現場に適した仕様を見極めながら製品選定を進める姿勢も見受けられました。まさに熱中症対策が義務化された今、企業が暑熱対策をとる「第二フェーズ」に移行するタイミングと言えるでしょう。

≪法改正の認知度と対応意向≫

2025年6月に施行される労働安全衛生規則の改正は、暑熱環境下での作業者に対して、服装の調整や冷却装置の提供といった具体的な措置が企業に義務づけられるというものです。しかし、この熱中症対策の義務化に関する法改正についての認知度は、必ずしも高いとは言えません。「知っている」と回答したのは全体の37.3%にとどまり、過半数以上の企業が法改正の内容をまだ正確に把握していないことが浮き彫りとなりました。このような状況下でも、「今後対応する予定」と答えた企業は65.3%と高い割合を示しており、改正内容に対する正確な理解はなくとも、「何かしらの対応が必要」と捉えている企業が多いことが分かります。
一方で、「対応予定はない」「分からない」とした企業も3割以上存在し、情報の浸透とともに、今後の対策計画の策定や優先順位付けが急務となりそうです。企業にとって、対応の遅れは法的リスクにとどまらず、従業員からの信頼や安全意識にも直結する課題と言えるでしょう。


失敗しない暑熱対策、作業服の選び方と導入のコツ
≪ユニフォームに求める要素≫

暑熱対策において、どのような作業服が選ばれているか、また求められているかを尋ねたところ、「通気性」「吸汗速乾」「冷感素材」など、熱のこもりにくさや汗対策に関する機能性が上位に挙がりました。そのほかにも「ストレッチ性」「軽量性」「洗濯しやすさ」など、快適性と実用性を兼ね備えた機能が重視されている傾向が強く見られました。中でも「通気性があること」は54.9%と最も多く、「吸汗速乾性があること(50.7%)」もほぼ同水準で続いています。これらの結果から、炎天下や高温環境下での体温上昇や蒸れを防ぐ性能が、商品選定において最重要視されていることが明確です。一方で、「見た目の清潔感」や「既存制服とのコーディネート性」を求める声も一定数あり、単なる機能性だけでなく、現場での“受け入れやすさ”や“着用率”にもつながるデザイン性への配慮も求められています。安全性と働きやすさ、そして印象面をバランスよく満たす作業服のニーズが高まっています。
≪情報収集の手段と傾向≫

暑熱対策商品の情報をどこから得ているかについては、「取引先の営業担当者から」と回答した企業が最も多く、営業パーソンとの信頼関係が情報源として機能していることがわかります。次いで、「メーカー・販売店のWebサイト」や「展示会」など、能動的な情報収集も一定数見られました。また、「SNSや動画」などを参考にするという企業も一部あり、若手担当者がいる企業や、情報収集に積極的な企業では、比較検討の幅を広げている傾向も見受けられます。全体としては、従来からのルートである営業接点が主でありながらも、オンラインでの情報提供の重要性が増してきていることが伺えます。
具体的な数値で見ると、「営業担当からの情報提供」が57.7%、「Webサイト経由」が35.3%となっており、この2つが大きな情報源となっています。今後は、これらのチャネルを通じて、導入事例や機能比較、運用のコツなどを分かりやすく発信することが、検討フェーズにある企業への訴求において重要となるでしょう。

≪おすすめの暑熱対策ユニフォームと今後の対策準備≫
調査結果からは、企業の多くが暑熱対策の必要性を感じている一方で、どの商品を選べばよいか、どのように導入すれば現場で活用されるかに課題を抱えていることが分かりました。導入が進みやすいのは、水分補給グッズや冷感タオルなど手軽なものですが、今後は作業ユニフォームそのものに冷却機能や通気性、速乾性などを備えた高機能アイテムへの移行が進むと予想されます。
おすすめは、ファン付きウェアや冷感インナー、軽量で伸縮性のある作業着、さらに吸汗速乾・防臭・抗菌などを兼ね備えた夏専用モデル。加えて、脱ぎ着のしやすさや洗濯のしやすさも、着用率を左右する重要なポイントです。
また、導入の際には「使ってもらう工夫」がカギとなります。例えば、試着機会を用意する、現場の意見を取り入れる、周囲との統一感を意識したコーディネートを提案するなど、単なる購入では終わらないアプローチが求められます。法改正によって「待ったなし」となる今、企業は製品選定だけでなく、社内浸透や継続運用までを見据えた準備が必要です。私たちは、その一歩をサポートする提案と製品ラインナップを揃えています。

「熱中症対策の義務化」おわりに
法改正の施行を前に、暑熱対策は今や“待ったなし”の経営課題です。調査からも、多くの企業が対策に前向きである一方、「何を選ぶか」「どう浸透させるか」で悩みを抱えている実態が見えてきました。そんな中で鍵となるのが、「現場で本当に使われる」作業服を選ぶことです。通気性や冷感性、軽さやストレッチ性といった機能はもちろん、着用率を高める工夫や導入後のサポートも含めて、総合的な視点が求められます。
『e-UNIFORM』では、業種や環境に応じた高機能な作業服を多数ご用意し、導入から運用までトータルでご提案しています。「どこから始めるべきか分からない」と感じている方も、ぜひお気軽にご相談ください。作業服カタログや導入事例の資料を無料でご提供しております。

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